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業界情報
2016/02/02

HACCPの義務化

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先月、厚生労働省が食品衛生管理の国際標準であるHACCP(ハサップ)の導入を、食品関連企業に対して段階的に義務化する方針を固めたとのことでした。これから有識者での検討会で対象品目やら時期的なもろもろの計画を作っていくようで、食品衛生法の改正なども遠い話しではなさそうです。

このHACCP、我々の業界ではご存知の方がほとんどかとも思いますが少しお浚いしますと、HACCP=Hazard Analysis and Critical Control Point「危害分析重要管理点」と訳されます。
1960年代に米国NASAで宇宙食の安全確保のために開発された手法で、食品毎にそれぞれの性質や特性に応じた製造過程におけるリスクを全て洗い出し、その中で特に重篤な危険を取り除くために調理の温度や時間、加工処理や検査の方法などを一つずつ明確に取り決め継続的に計測監視管理を行い、基準適合となったもののみを出荷対象とできるような仕組みをチームで作り上げる手法です。
HACCPシステムの概要

実は先日、弊社からも数名 財団法人日本食品分析センターさんが行っているHACCP講習会(講義、危害分析の実施及びHACCPプラン作成のグループ演習カリキュラム)を受けさせていただいたのですが、これがなかなか難しい・・・、いわゆる私達が普段守るようにしている保健所からの指導や大量調理における衛生管理マニュアルの基準にある手洗い方法や着衣清潔管理、検便検査などの健康管理、調理道具の食材別使用、厨房内の衛生区分交差汚染防止ゾーニング、食材の扱いは床から600㎜以上の高さとする設備的な決め事等々は、HACCPそのものではなく、HACCPシステムを効果的に機能させるための前提となる一般的衛生管理プログラムにあたり、基礎的なものということになるそうです。

現時点で日本国内でのHACCP導入率は、食品の売上が50億円以上の大手企業で87%と進んでいるようですが、中小企業では34%、1億円未満の零細企業では14%とまだまだ浸透しておりません。欧米では1990年代から食肉や水産食品で義務化が進んでおり、だいぶ遅れを取っている状態ですね。
1996年に大阪 堺市の小学校で病原性大腸菌O-157による集団食中毒が発生し、これを境に厳しい衛生管理を求められることとなりました。大企業や学校給食施設でHACCPの自主的な導入が進んだようですが、やはり対策のための設備投資や人材確保が困難な中小・零細企業の経営事情等を考慮してか、厚労省も義務付けまでに至りませんでした。
環太平洋経済連携協定(TPP)が発効となると、食品関税が撤廃・引き下げとなるため、輸出入の増加が見込まれておりますが、海外諸国への輸出をする場合には今後HACCPの実施が求められるケースが増えてくることは必至で、日本の食品関連中小企業が輸出を増やす上での足かせとなる可能性があります。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて日本の食の安全をアピールする上でも、国際的に信用度のある衛生管理を広める時期が来ていると判断されたのではないでしょうか。

集団給食・大量調理の場に於ける衛生管理が今後どのようになるのか、国・自治体の方針などアンテナを立て情報の収集を継続して皆様方と共有していきたいと思います。


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